消費税還付について
1 消費税の還付が発生する仕組み
設備投資を行ったり、原材料を仕入れたりして、物を売ったり、サービスを提供したりしている場合には、課税売上にかかる消費税と課税仕入にかかる消費税とを計算し、いくらの消費税を納めるべきかを計算する必要があります。
この場合、課税売上にかかる消費税と課税仕入にかかる消費税との差額が、ご自身が納税すべき消費税額になります。
課税売上にかかる消費税が、課税仕入にかかる消費税を上回っている場合は、差額分を消費税として納税することとなります。
逆に、課税仕入にかかる消費税が、課税売上にかかる消費税を上回る場合には、消費税の還付がなされる可能性があります。
2 消費税の還付が発生しやすい場合
それでは、具体的にどのような場合に、課税仕入にかかる消費税が、課税売上にかかる消費税を上回り、消費税の還付の可能性が生じるのでしょうか。
1つ目は、課税仕入が増加した場合です。
例えば、高額な機械を購入する等、多額の設備投資を行った場合には、課税仕入が増加し、消費税の還付の可能性が生じることとなります。
2つ目は、課税売上が減少した場合です。
事業の不振等により、売上が減少した場合には、消費税の還付となる可能性があります。
3 消費税の還付申告を行う条件
消費税の還付を受けるには、一定の条件を満たす必要があります。
1つ目は、消費税の課税事業者であることです。
消費税の免税事業者の場合は、消費税を納税しなくてもよい反面、消費税の還付を受けることもできません。
消費税の免税事業者で、消費税の還付を受けることを検討する場合には、消費税課税事業者不適用選択届出書を提出し、消費税の課税事業者になる必要があります。
ただし、一旦、消費税の課税事業者になると、2年間は免税事業者に戻ることができませんので、課税事業者になるかどうかを検討する場合は、少なくとも2年間の予測を立ててから選択を行うべきかと思います。
2つ目は、仕入税額控除について、簡易課税の選択を行っていないことです。
簡易課税とは、課税売上にかかる消費税のうち、40%から90%を、課税仕入にかかる消費税とみなす制度のことをいいます。
簡易課税の選択届出を行っていると、実際の課税仕入にかかる消費税が少額であったとしても、一定額を課税仕入にかかる消費税とみなして差し引くことができますので、消費税を減額できる可能性があります。
その一方で、一定額しか差し引くことができないため、実際の課税仕入にかかる消費税が、課税売上にかかる消費税を上回ったとしても、消費税の還付も受けることができないこととなります。
このため、簡易課税の事業者が消費税の還付を受けることを検討する場合は、消費税簡易課税制度選択不適用届出書を提出し、本則課税とすることを検討する必要があります。
ただし、一旦、本則課税を選択すると、2年間は簡易課税に戻ることができませんので、本則課税を選択するかどうかを検討する場合は、少なくとも2年間の予測を立ててから選択を行うべきだといえます。
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