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「相続税の計算」に関するお役立ち情報

車を相続した場合の相続税

  • 文責:代表 税理士 西尾有司
  • 最終更新日:2024年8月6日

1 車にも相続税は課税される

相続税は、被相続人が亡くなった時点で有していたすべての財産的価値のある財産に課税されます。

相続税の額を計算する際には、被相続人が有していた個々の財産について、個別に評価額を算定し、その後、評価額を総計します。

このとき、評価額を算定し、総計すべき財産の中に、被相続人が有していた車も含まれます。

このため、相続税申告が必要な場合には、相続した車についても、適切に評価を行い、申告内容に反映する必要があるということになります。

ここでは、車の相続税について、いくつかの注意点をまとめたいと思います。

2 相続税が課税される車

まず、車が被相続人名義で登録されていた場合には、その車は相続税の課税対象となります。

車が被相続人名義で登録されていたかどうかについては、車検証で確認することができます。

車検証については、生前に使用していた車でしたら、車内に保管されていると思いますが、万一、車検証を紛失していた場合には、陸運局や軽自動車検査協会で記載事項証明書を取得することができます。

それでは、車の名義が信販会社や販売会社になっている場合はどうでしょうか。

被相続人が車の購入資金を借り入れして自動車を購入していた場合には、所有権留保により、車の名義が信販会社や販売会社になっていることがあります。

また、リース契約により車を使用していた場合も、車の名義が信販会社や販売会社になっていることがあります。

このような場合であっても、多くは、実質的には所有権が被相続人にあったと解釈され、被相続人が有していた財産に含まれると考えられます。

ただし、リース期間が終了した時点で、車をリース会社に返還する契約になっていた場合等、実質的に所有権が被相続人にはなかったと解釈される場合は、被相続人が有していた財産には該当しないこととなる可能性もあります。

また、車検証では車の名義が親族名義になっているものの、車の購入費用を被相続人が負担しており、車の使用者も主として被相続人であったというような場合は注意が必要です。

車に課税される税金を軽減する目的で、上記のように被相続人が購入し使用していた車について、名義だけを親族にしておくことがあります。

このような場合は、実態としては被相続人が所有していた車であり、名義だけ親族のものを借りていたに過ぎないと考えられますので、相続税の課税対象となります。

3 車の評価方法

車は、同じ年式、車種であっても、評価額が異なることがあります。

これは、走行距離や管理状況により、市場で売却する際に付される価格が異なってくるためです。

車について相続税が課税される場合、どのように評価を行えばよいのでしょうか。

1つ目の方法として、車種、年式から、おおよその市場価格を調べる方法があります。

近年では、買取業者のホームページを検索し、車種、年式を特定して調べれば、容易に市場価格を調べることができます。

この方法を用いる場合、前提として、車種を特定する必要があります。

車種が分からない場合には、車検証に記載されている車台番号が分かれば、各自動車メーカーのホームページで車台番号検索を行うことにより、車種を特定することができます。

ただ、この方法だと、走行距離や管理状況を踏まえた評価を行うことはできません。

例えば、顕著な損傷があったとしても、一般的な市場価格でしか調査することができず、損傷の存在を評価結果に反映することができません。

2つ目の方法として、業者に査定をしてもらう方法があります。

この方法であれば、実際の走行距離や管理状況を踏まえた評価額を算定することができます。

なお、リース契約の場合も、実質的に被相続人が所有権を有していると解釈される場合は、同様に評価を行うこととなります。

ただ、リース契約終了時に見積残存価値で買い取ることができる契約になっている場合には、この負担を考慮し、リース契約終了時の見積残存価値を差し引いて評価するのが妥当であると考えられます。

4 債務控除

車を購入するにあたり、オートローンを組み、借入金を購入資金とすることがあります。

相続時点で、オートローンについて、残債務がある場合には、残債務額が債務控除の対象になり、相続税の課税価格から差し引くことができます。

同様に、実質的に被相続人に所有権が移転しているリース契約の場合、リース契約が組まれており、相続時点で未経過リース料があるのであれば、未経過リース料の残額が債務控除の対象になると考えられます。

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