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不動産の相続税評価額の調べ方

  • 文責:代表 税理士 西尾有司
  • 最終更新日:2024年6月12日

1 はじめに

本ページでは、路線価地域の宅地について、相続税評価額を調べる場合のポイントを、順番に説明したいと思います。

2 不動産の一覧の取得

出発点として、不動産の一覧を取得します。

不動産の一覧を取得することにより、評価の対象となる不動産を特定することができます。

具体的には、固定資産税の納税通知書、名寄帳を取得します。

これらの書類には、被相続人が各市区町村で所有していた不動産の一覧が記載されています。

3 登記情報の取得

不動産の登記情報を取得すべきです。

登記情報からは、被相続人が不動産について有していた権利割合(単独所有か共有か等)、登記地目、登記地積を確認することができます。

登記情報に記載された権利に関する情報は、被相続人が有していた権利を公的に証明するものですので、重要性が高いです。

このため、被相続人が有していた権利割合を確定するにあたっては、登記情報を確認すべきです。

稀に、名寄帳の記載と登記情報の記載が矛盾することがありますが、登記情報が公的証明手段として位置付けられる以上、基本的には、登記情報に基づいて権利割合を確定すべきです。

他方、それ以外の、登記地目、登記地積に関する情報は、実体と乖離していることも多いため、相続税評価上は、参考情報程度の位置付けになります。

実際の地目、地積については、むしろ、名寄帳の記載の方を重視することが多いです。

4 公図、地積測量図の取得

公図についても取得すべきです。

公図からは、土地の概ねの形状、位置関係を確認することができます。

これにより、どこまでの範囲を1画地(ひとかたまり)の不動産として評価すべきかが分かりますし、形状に基づき、後述の間口補正率、間口狭小補正率、奥行長大補正率、不整形地補正率の算定を行うことができます。

もっとも、公図については、信頼性が乏しいこともあります。

このため、地積測量図が取得できる場合は、合わせて地積測量図も取得する方が良いでしょう。

これにより、不動産の形状について、より正確な情報を得ることができます。

5 倍率表の取得

国税庁のホームページにおいて、倍率表を取得します。

倍率表を取得すると、各土地について、路線価評価を行うべきか、倍率評価を行うべきかを確認することができます。

宅地については、倍率表に「路線」と記載されている場合には、国税庁の定める路線価をベースとして、相続税評価額を算定することとなります。

6 路線価図の取得

路線価地域については、国税庁のホームページで、路線価図を取得します。

路線価図は、国税庁が定める、各路線に接する土地の、1㎡当たりの標準的な単価になります。

毎年、更新がなされています(7月初旬に発表)。

この路線価に、地積(名寄帳に記載された地積を参照することが多いです)を乗じることにより、宅地の標準的な評価額を算定することができます。

もっとも、相続税評価額については、様々な修正要素があります。

以下では、様々な修正要素を反映する流れを説明します。

7 公図、地積測量図の分析

路線価×地積により算定することができるのは、宅地の標準的な評価額です。

ここでいう標準的な宅地とは、長方形の、戸建住宅の建築に適した間口・奥行の宅地です。

しかし、実際には、宅地の形状は様々ですし、間口・奥行も様々です。

このため、実際の宅地の形状、間口・奥行に基づき、減額修正の計算を行う必要があります。

ここでは、公図、地積測量図のデータに基づき、間口・奥行を算定し、形状を把握します。

これらの分析結果に基づき、間口補正率、間口狭小補正率、奥行長大補正率、不整形地補正率を算定します。

8 指定容積率の確認

都市計画区域においては、指定容積率が定められています。

ある土地において、複数の指定容積率が定められた地域が含まれている場合(たとえば、北半分は指定容積率が300%だが、南半分は指定容積率が200%であるような場合)には、相続税評価額を減額することができます。

これは、複数の指定容積率が定められていると、指定容積率が小さいエリアでは建物の規模が制限されることとなり、土地の利用価値が低下すると考えられるためです。

このため、都市計画図を取得し、指定容積率の確認も行うべきことがあります。

9 土砂災害マップの確認

土地が土砂災害特別警戒区域に含まれている場合には、厳しい建築規制がありますので、土地の利用価値が著しく低下することとなります。

このため、土砂災害特別警戒区域内の土地については、相続税評価額が減額されることとなります。

土砂災害特別警戒区域の指定の有無を調査するため、各都道府県が公表している土砂災害マップの確認を行います。

10 セットバックの調査

宅地が接している道路が4m未満の場合(一部の地域では6m未満の場合)は、セットバックの対象になり、建物の建築が制限される可能性があります。

このため、宅地がセットバックの対象となる場合には、相続税評価額も幾分か減額されることとなります。

この点を相続税評価額に反映するためには、各市区町村役場において、接している道路について、道路種別を確認し、その道路がセットバックの対象になるかを確認します。

そして、セットバックの対象になる場合には、各市区町村役場において、道路幅員の確認も行います。

これにより、セットバックの対象となる面積を特定し、相応の評価減を行うこととなります。

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