「相続税申告」に関するお役立ち情報
相続税の申告期限と申告方法
1 申告期限についての基本的な考え方
相続税申告の期限は、「自己のために相続が開始したことを知った日の翌日から10か月後」とされています。
自己のために相続が開始したことを知った日は、被相続人が亡くなったことを知り、かつ、自分が相続人であることを知った日のことを指します。
被相続人と同居していた場合など、多くの場合では、被相続人が亡くなった日に、被相続人が亡くなったことを知り、かつ、自分が相続人であることを知ることとなると思います。
このため、税務署も、特別な事情がなければ、被相続人が亡くなった日の翌日から10か月後が申告期限であると考えます。
例えば、被相続人が5月18日に亡くなった場合には、基本的には、10か月後の3月18日が申告期限となります。
2 10か月の期間の起算日が後にずれる場合
もっとも、特別な事情がある場合には、被相続人が亡くなった当日に被相続人が亡くなったことを知ることができなかったり、自分が相続人であることを知ることができなかったりします。
このような場合には、10か月の期間の起算日が後にずれることとなります。
例えば、被相続人が孤独死しており、死亡後しばらくしてから、被相続人が亡くなったことが判明する場合があります。
このような場合には、被相続人が亡くなったことを知った日は、亡くなった当日ではなく、被相続人が亡くなったことが実際に判明した日となります。
そのため、実際に死亡が判明した日が10か月の期間の起算日となります。
このように、被相続人が亡くなったことが実際に判明した日が後にずれ込むことにより、相続税の申告期限も後にずれ込むことがあります。
ただ、税務署との関係では、被相続人が亡くなったことが実際に判明した日が後にずれ込んでいることを前提として申告を行う場合には、客観的資料等で、被相続人が亡くなったことが実際に判明した日を明らかにすることを求められます。
例えば、死亡届の提出日が、被相続人が亡くなった日よりもある程度後の日になっている場合には、孤独死であることが推定され、死亡届が提出された日の前後までは被相続人が亡くなったことが判明していなかったと考えられます。
他にも、相続人が判断能力を失った状態であるときは、自分が相続人であることを知ることができません。
この場合、成年後見人が選任されてから、10か月の期間が始まります。
このように例外的な場合には、10か月の期間の起算日が後にずれ込むこととなります。
3 10か月の期間の最終日が後にずれる場合
先に述べたとおり、申告期限は、自己のために相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月後になります。
ただし、10か月後にあたる日が土曜日、日曜日、祝日である場合は、次の平日まで申告期限が延長されます。
また、地震等の災害が発生した場合には、申告期限が延長されることがあります。
近年でも、新型コロナウィルスの感染拡大を理由として、申告期限の延長がなされています。
4 相続税の申告方法
それでは、申告期限までに、どのように申告の手続きを行うのでしょうか。
申告の方法には、申告書を税務署に持参する方法、申告書を郵送する方法、電子申告する方法があります。
⑴ 申告書を税務署に持参する場合
申告書を税務署に持参する場合は、税務署が開いている時間であれば、窓口に直接提出することができます。
上記の時間以外でしたら、時間外収受箱に投函することができます。
申告期限の当日までに、窓口に提出するか、時間外収受箱に投函する必要があります。
⑵ 申告書を郵送する場合
申告書を郵送する場合は、郵便で税務署宛に送付することとなります。
期限が迫っている場合は、申告期限の当日の23時59分までに、郵便局に持ち込み、発送の手続きを行う必要があります。
申告期限の当日までに郵便局で発送の手続きを行うことができれば、その時点で申告がなされたものと扱われますので、税務署に届いたのが申告期限後であったとしても、期限内に申告したということになります。
ここで注意しなければならないのは、郵便物または信書便物で送付しなければ、発送時に申告がなされたものと扱ってもらえないということです。
ゆうパック、ゆうメール、ゆうパケットで送付してしまうと、発送時に申告がなされたものとは扱われず、税務署に届いたのが期限後になってしまうと、期限後の申告と扱われてしまいます。
郵便局で申告書の発送の手続きを行う際に、郵便局側から、郵便物ではなく、ゆうパックに切り替えて送付をすすめられることがありますが、ゆうパックに切り替えて送付してしまったがために、期限内申告と扱ってもらえなくなるといった事態が生じるおそれがありますので、注意が必要です。
⑶ 電子申告する場合
電子申告する場合は、e-Taxを用いて申告の手続きを行うこととなります。
電子申告の場合は、申告期限の当日の23時59分までに電子データを送信し、かつ税務署の側で受理がなされれば、期限内申告と扱われます。
注意点として、通信障害等により、申告期限内に受理されていないと、期限内に申告がなされていないものと扱われてしまいます。
電子申告の場合は、税務署の側で受理がなされると、受理がなされたことと受理の日時が記載された通知がe-Taxで返信されますので、必ず、税務署からの返信を確認し、期限内に受理がなされたことを確認するようにしましょう。