「相続税申告」に関するお役立ち情報
相続税の無申告加算税
1 無申告加算税が課税される場合
無申告加算税は、相続税の申告を行わなければならないのに、申告期限までに申告を行わなかった場合に課税される税金です。
相続税の申告を行わなければならない場合とは、債務を控除した後の相続財産の総額が、基礎控除額を超えている場合です。
注意しなければならないのは、配偶者控除、つまり配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を適用することで、元々は基礎控除額以上だった債務控除後の相続財産の総額が基礎控除額以下にまで減額された結果、相続税が非課税になる場合です。
これらの特例については、相続税の申告を行うことが適用の条件の1つとなります。
そのため、最終的な相続財産の総額が、基礎控除額の上限を下回るからといって申告を行わないと、特例の適用を受けていない前提で、基礎控除後の相続財産の総額が計算されることとなります。
そうなると、相続財産の総額が基礎控除額以上となるため相続税が課税され、さらに無申告加算税も課税されることとなってしまいます。
相続税の申告期限は、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です。
被相続人と疎遠である場合等を除くと、多くの場合は、被相続人が亡くなった日の翌日から10か月以内ということになるかと思います。
この期限までに相続税の申告と納付を行う必要があります。
2 無申告加算税の税率
無申告加算税の税率は、次のように定められています。
・ 申告期限の翌日から税務調査の事前通知まで
本税の5%
・ 税務調査の事前通知から税務調査による更正等の予知まで
50万円以下の部分については本税の10%
50万円を超え300万円以下の部分については本税の15%
300万円を超える部分については本税の25%
・ 税務調査による更正等の予知以降
50万円以下の部分については本税の15%
50万円を超え300万円以下の部分については本税の20%
300万円を超える部分については本税の30%
※ ただし、申告期限後1か月以内に申告を行い、かつ一定の要件を満たしていれば、無申告加算税は課税されません。
税務調査の事前通知とは、税務署から納税者に対し、これから税務調査を行う旨の通知がされることをいいます。
税務調査による更正等の予知とは、税務調査の結果、納税者へ指摘がなされるであろうことを予見するに至ったことをいいます。
3 無申告加算税の計算
例として、相続税の本税が500万円の場合に、無申告加算税はいくらになるのか計算してみます。
・ 申告期限の翌日から税務調査の事前通知まで
500万円×5%=25万円
・ 税務調査の事前通知から税務調査による更正等の予知まで
50万円×10%+250万円×15%+200万円×25%=92万5000円
・ 税務調査による更正等の予知から
50万円×15%+250万円×20%+200万円×30%=117万5000円
※ ただし、申告期限後1か月以内に申告を行い、かつ一定の要件を満たしていれば、無申告加算税は課税されません。
このように、無申告加算税については、より早期に自主的に申告を行えば、より低い税率が適用されることとなっています。
このことから、相続税の申告を行うべきであるのに、申告しないまま申告期限が経過してしまったことが明らかになった場合は、早期に、かつ自主的に申告を行った方が、最終的な税負担を軽減することができることが分かります。
より早く申告手続きを完了させるためにも、申告期限が経過している場合は、なるべくお早めに税理士へご相談ください。